サンゴ礁モニタリング方法の評価

 

まず最も古くからよく使われるライン・インターセプト・トランセクト法を紹介します.海底にラインを引きます.ラインは1本10m〜50m.1つのサンゴ礁につきラインを岸に沿って垂直に5〜10本引きます.ラインとラインの間は5〜10m間隔を空けます.

最近ではデジカメやデジタルビデオを使ってサンゴ礁のモニタリングをするのが一般的です.中でも精度が良いとされるフォト・コドラート・トランセクト法を紹介します.スキューバダイビングでライン上をデジカメで撮っていきます.上の写真ではラインに50cm間隔に印がしてあり,1枚の写真に印が2つ(=ライン長さ50cm)入るように写真を撮ります.

画像解析ソフトで,50cm×50cmの正方形内のサンゴの色を抽出してサンゴの占める面積を計算します.これを何枚も調べてサンゴの被覆率(%)を計算していきます.だいたい1つのサンゴ礁でライン50m分を調査するのが普通ですから,50mのライン上を50cm間隔で写真を撮っていくと100枚になります. 100枚の画像を解析するには慣れた人でも1人で16-25時間かかります.この方法は正確に被度を見積もることができますが,欠点は解析に時間がかかることです.広範囲なサンゴ礁を毎月モニタリングするなら大変なことです.

ライン・インターセプト・トランセクト法(LIT)とは,右図のようにラインを引いて,ライン上にかかるサンゴの長さを水中で記録していく方法です.例えば右図のラインの長さが1000cm(=10m)なら,CFというサンゴの長さは57cmなので,CFの被覆率は57÷1000×100=5.7%となります.この方法は非常にシンプルで被覆率の計算も一瞬ですが,水中で記録していくので潜水時間が長いのが欠点です.さらに観察者がサンゴ同定のエキスパートである必要があります.



50cm

20cm

左写真だと,50cmのライン上にかかる枝サンゴの長さは20cmですから,枝サンゴの被度は20÷50×100=40%になります.この操作を写真100枚くらいで実行して全体のサンゴ被度を計算します.

    従来のライン・インターセプト・トランセクト法をパソコンの画面上でやってしまうこの方法をフォト・ライン・インターセプト・トランセクト法(PLIT)と名付けてみました.

問題はこのPLIT法が実際にどのくらいの精度をもっているかとうことです.そこで定評のあるPHOTS法と比べてみることにしました.結果として,行政や民間のモニタリングレベルならこのPLIT法で十分だと分かりました.

Nakajima R, Nakayama A, Yoshida T, Kushairi MRM, Othman BHR, Toda T (2010) An evaluation of photo line-intercept transect (PLIT) method for coral reef monitoring. Galaxea 12: 37-44. Nakajima2010a.pdf, Erratum.pdf

サンゴ礁のモニタリングとは?

サンゴ礁のモニタリングとは,サンゴがどのくらい生息しているかを定期的に調べることです.定期的に調べてサンゴが減っているor増えている情報を得ることが目的です.もしサンゴが減っていたら何が原因かを調べて対策を立てる必要があります.放っていたらますます減ってしまうかも知れないからです.「サンゴがどのくらい生息しているか」を専門的に「サンゴの被覆率(または被度)はどのくらいか」と言います.サンゴの被覆率は,サンゴ礁の中で生きたサンゴが占める割合をパーセント(%)で示したものです.サンゴ被覆率の調べ方はいろいろありますが,方法によって一長一短があります.今回,簡単な方法を思いついたので,実際に使えそうかどうか調べてみました.

オーソドックスなライン・インターセプト・トランセクト法 (LIT)

English et al. 1994

フォト・コドラート・トランセクト法 (PHOTS)

今度はデジタル写真をパソコンに取り込んで,50cm×50cmの正方形枠(コドラート)を画面上に画きます.

そこで考えたのが,従来からのオーソドックスなライン・インターセプト・トランセクト法をパソコンの画面上でやってしまえ,っということです. ライン上をデジカメで写真を撮って,パソコンの画面上でサンゴの長さを測ってやれば,シンプルだし解析も早いし,コストも安いし,ダイビング時間も短くなります.

フォト・ライン・インターセプト・トランセクト法 (PLIT)

研究成果

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